『キング・オブ・コメディ』
皆様こんにちは、はまさんすーです
今回ご紹介するのは
『キング・オブ・コメディ』です
私は好き度:
オススメ度:
サイコパス度:
(星5つ満点)
はまさんすーから一言
「幻想は時に現実よりも現実的」
「キング・オブ・コメディ」は1982年に制作されたアメリカの映画です。
監督は稀代の名監督、マーティン・スコセッシが務めています。
主演も超大物映画俳優のロバート・デ・ニーロ!
この二人のコンビは「ミーン・ストリート」、「タクシードライバー」に始まり
「レイジング・ブル」や「グッドフェローズ」、「カジノ」などすべてが名作映画と言っても過言ではありません。
今作「キング・オブ・コメディ」もその二人のコンビが力を発揮した素晴らしい映画の一つとなっています。
以前紹介した「ウルフ・オブ・ウォールストリート」はスコセッシ監督とディカプリオのコンビでしたが
そちらも非常に面白い作品なのでおすすめです。
キング・オブ・コメディのあらすじ
超大人気コメディアンのジェリー・ラングフォードがいつものようにTV収録を終え、局の外に出ようとすると
そこは出待ちのファンでごった返していました。
なんとかファンの間を通り抜け、送迎の車の後部座席に乗り込むジェリー。
するとそこには熱狂的な女ファンのマーシャという女が勝手に乗り込んでいました。
そこに居合わせたルパート・パプキンはジェリーに抱きつくマーシャを引き剥がし
車の外に追い出し狂信的なファンからジェリーを守ります。
ジェリーはパプキンに感謝するのだったが、今度はなんとパプキンが車に乗り込んでくるのでした。
ファンの群衆の中から発進した車の中でパプキンと二人っきりになるジェリー。
ジェリーに憧れ、コメディアンを目指しているというパプキンはここぞとばかりにジェリーに自分を売り込み始めます。
助けてもらった手前、ジェリーはパプキンを邪険に扱えませんでした。
自分の才能を熱弁するパプキンに適当に相槌を打ち、やり過ごそうとするジェリー。
辟易したジェリーは今度自分の事務所に電話でもしてくれと言い、パプキンと別れます。
この発言を自分には見込みがあるからジェリーが目をかけてくれていると受け取ったパプキンの心の中は有頂天です。
彼の脳内ではジェリーと自分は一緒に食事に行き、ジェリーから番組を任せられるほど親密な仲になっていました。
パプキンの自室は異常な様子でした。
壁一面には彼を見る観衆の写真が貼られ、椅子にはジェリーなど司会者のハリボテが鎮座し
彼はそれらに向かって売れっ子コメディアンになった自分の練習を行っていたのです。
妄想内では彼は超大人気コメディアンとなり、大観衆から歓声を受けていたのです。
パプキンが自分に酔いながら一人芝居をしていると、隣室から彼の母親からうるさい!と注意を受けてしまいます。
パプキンは意気揚々と意中の女性リタがいる飲み屋へと行きます。
リタはパプキンのことは全く気にも留めていなかったのですが、何故か自信満々の彼と食事に行くことになります。
レストランでパプキンは、自分はジェリーと懇意だと言い出し、近々彼の番組に出ると嘯(うそぶ)きます。
パプキンは趣味で集めていたスターのサイン集をリタにプレゼントし去っていくのですが、
リタは全く信用できず、懐疑の目で彼を見ていました。
そしてパプキンはジェリーの事務所へと向かうのでした。
キング・オブ・コメディの見所
この映画の見所はなんと言ってもロバート・デ・ニーロ演じるルパート・パプキンの異常性です。
もともと社会と噛み合っていなかった彼がコメディアンの夢を叶えるためにどんどん狂っていくのが非常に真に迫っています。
最初はいるよなこういう奴という感じだったのが、おいおい・・・って感じで加速度的にヤバい奴になっていくのが最高です。
それを熱演するロバート・デ・ニーロがヤバすぎます。
他の映画ではかっこいい役とかやっているのにこの映画ではまさに冴えないクレイジー野郎を演じているのですが、
それが鬼気迫っているというか、ルパート・パプキンという一人の男にしか見えなくなってくるのです。
また、ルパート・パプキンの演技は世界的に影響を与えたらしく、多くの他の人の作品で
狂人を演じられる際の参考書的なものにされているようです。
この映画を見たら他の映画を見るときもこの役柄なんかパプキンに似てるなと思えることができるかもしれませんね。
ここからネタバレ注意!!
パプキンは早速ジェリーの事務所に電話をかけてアポを取ろうとしますが、
よくあるファンのおかしなやつだと思われたため無下に断られます。
業を煮やしたパプキンは直接ジェリーの事務所に足を運びます。
受付でジェリーに会いたいと言うパプキンでしたが、受付嬢は怪しい男を通しません。
自分はジェリーと仲良しなんだ、彼に来いと言われたんだと言い張る彼に受付嬢は困惑しますが、
そこにやってきたジェリーの秘書キャリーはパプキンにネタを見せたいなら
ネタを入れたテープを持ってきてくださいと言ってパプキンを追い返します。
事務所の外でパプキンを待ち構えていたのは、冒頭でジェリーの車に乗り込んでいた女マーシャでした。
実はこの二人は裏でつながっていたのです。
熱狂的ジェリー信者のマーシャはパプキンにジェリー宛ての手紙を渡そうとしますが、
パプキンはストーカー気質のこの女を邪険に扱います。
自分はもうジェリー側の人間だと言わんばかりにマーシャを見下すのでした。
パプキンは自室に戻り、がんばってネタをテープに吹き込みます。
ネタテープをキャシーに渡し、大絶賛間違いなしだと確信したパプキンの脳内はお花畑でした。
彼の妄想ではジェリーに絶賛され、別荘に招待される妄想が繰り広げられ、
リタとも結婚をしてる妄想すらしていました。
しかも、パプキンはそれを現実だと思い始めているのでした。
後日、テープの結果を聞きに事務所へ向かったパプキン。
そこで彼はキャシーにテープはイマイチで、ジェリーはあなたと懇意ではないと現実を突きつけられます。
パプキンはそんなはずない!ジェリーに会わせろと暴れます。
一度は追い出されたパプキンでしたが、外にいたマーシャにジェリーが中にいることを伝えられ再度事務所に突入します。
あえなく警備員に捕まり、今度騒ぎを起こしたら警察に突き出すと言われてしまいます。
けれでもパプキンはそんなことではめげません。
なぜなら彼の頭の中では自分はジェリーの別荘に招待されるほどの仲なのですから。
妄執に駆られたパプキンは想い人のリタを連れてジェリーの別荘に勝手に向かいます。
使用人の制止を振り切り、別荘内に上がり込んでいくパプキンにリタはちょっと引いています。
ゴルフを楽しんでいたジェリーが使用人に呼び戻され戻ってきます。
戻ってきたジェリーの物々しい雰囲気に真実を悟ったリタは帰ろうとするのですが、
パプキンはジェリーにネタテープを聞いてほしいと食い下がります。
そこでジェリーはパプキンに君に電話してくれと言ったのは君を追い出す口実だ。
君のネタに興味はないとパプキンに現実を教えます。
パプキンは激昂し、別荘を飛び出していくのでした。
パプキンはジェリーの拒絶にもめげません。
パプキンはマーシャと手を組んでジェリーを拉致する計画を立てます。
パプキンはジェリーを脅迫し、彼の番組に出演するために。
マーシャはジェリーを監禁し二人だけの世界に行くために手を組んだのです。
計画通りジェリーを誘拐し、マーシャの家に監禁することに成功した彼ら。
ガムテープでぐるぐる巻きにされたジェリーにパプキンは番組のプロデューサーに電話し
今夜のゲストで俺を呼んでいるように言えと脅します。
プロデューサーは様子のおかしなジェリーにすぐに気づき、犯人の要求を飲みながらもジェリーの救出に動きます。
パプキンはジェリーにテープを聞かなかった恨み言を言います。
ジェリーは謝罪し、今すぐ解放してくれるならこの事は不問にするといいますが、パプキンはジェリーを置いて収録に行きます。
パプキンはテレビ局に着くと、名前を聞かれキング・オブ・コメディだと答えます。
コメディのキングだと堂々とスタジオ入りするパプキン。
その頃、ジェリーはマーシャに言い寄られていました。
下着姿でジェリーを籠絡しようとするマーシャ。
ジェリーはそこで一計を案じ、マーシャの誘惑に応じる演技をします。
マーシャに自分を縛っているテープを切るように要求し、ジェリーを信じ切ったマーシャはあっさりそれに従うのでした。
見事マーシャの魔の手を逃れたジェリーは逃げ出しますが、マーシャは下着姿のまま彼を置い飛び出していくのでした。
収録を終え、ステージを降りたパプキンをFBIが囲みます。
目的を終えたパプキンはおとなしく捕まり、自分の犯行を認めます。
しかし、ジェリーの居場所は明かしませんでした。
なぜなら彼にはまだ最後の最後にやりたいことがあったのでした。
パプキンはリタのいる飲み屋へと向かいます。
その時間はちょうどパプキンが出演した番組の放映時間でした。
FBIたちは放送が終わったらジェリーの居場所を吐くというパプキンとの約束で飲み屋の外で待機しています。
パプキンはリタと一緒に自分が出た番組を一緒に見ています。
テレビ画面の中ではパプキンが壇上に立ち、自分の人生を自虐的に振り返りながら観客達を楽しませていました。
パプキンの望みとは、リタに自分がテレビで輝いている姿を見てもらいたいというものだったのでした。
テレビの中ではパプキンがこんな人生でも悔いはない、一夜限りのコメディアンでも構わないと言っています。
彼はたった一晩だけでしたが、本物のキング・オブ・コメディとなっていたのでした。
そして番組は歓声の中終了し、パプキンは連行されていくのでした。
パプキンは拉致監禁の罪で懲役を受けます。
刑務所に入ったパプキンでしたが、彼の衝撃的なテレビデビューは全米に知れ渡り、
獄中で彼が書いた自伝はベストセラーとなります。
数年で仮出所したパプキンはコメディアンとしてテレビのステージへと大歓声の中上がっていくのでした。
キング・オブ・コメディ感想
漫才やコントのお笑いの世界で演じられる滑稽なキャラが現実で生活していたらこんな感じになっていくのでしょうか。
お笑いと狂気は紙一重ですね。ステージを降りたらそれはただの異常と化してしまうのでしょう。
夢や妄想を現実にするために努力することは世界中で称賛されているものなのに、
歯車が一つ違っただけでこんなにも悲劇が生まれてしまうものなのですね。
チャップリンは人生はクローズアップで見れば悲劇だがロングショットで見たら喜劇だと言っていましたが、
この映画はその喜劇の裏の狂気を描いているのです。
ルパート・パプキンはきっとコントで演じられる役柄ならよくあるちょっとおかしなおっさんだったのでしょうが、
それが実際に現実で生活し始めるのは恐怖でしかないのです。
そして映画の最後のシーンですが、この場面は未だに現実なのかパプキンの妄想なのか意見が別れているらしいですね。
私としては現実でも現実社会のメディアの病的な感じが出てるし、妄想でもパプキンの異常性が出てる
どっちにしろやばいラストだなと感じました。
みなさんの隣人にもルパート・パプキンは潜んでいるのかもしれませんので、お気を付けを。
それではみなさんまたお会いしましょう!