皆様こんにちは、はまさんすーです
今回ご紹介するのは
『パラサイト 半地下の家族』です

私は好き度:
オススメ度:
リスペクト度:
(星5つ満点)
はまさんすーから一言
「人生は計画的に。」
「パラサイト 半地下の家族」は2019年に韓国で制作された映画です
この映画のジャンルは一言で言うのが難しいのですが、コメディのようでもあり、サスペンスのようでもある複雑な映画です
2019年の第72回カンヌ映画祭では韓国映画初となるパルム・ドール(最高賞)を獲得しています
監督は「ほえる犬は噛まない」で監督デビューし、「殺人の追憶」や「グエムル-漢江の怪物-」で一躍有名となったポン・ジュノ。

主演には同監督の「殺人の追憶」、「グエムル-漢江の怪物-」でも起用されていたソン・ガンホが選ばれています。
共演にもイ・ソンギュ、チョ・ヨジョン、チェ・ウシクなど実力派を取り揃えています。

パラサイト 半地下の家族のあらすじ
失業中のキム・ギテク(ソン・ガンホ)は下町にある半地下のボロい住宅で家族4人と暮らしていた。
受験を計4度も失敗した浪人中の長男、ギウ。
同じように美大を目指している長女、ギジョン。
ハンマー投げの大会で銀メダルをとったこともある妻、チョンソク。
彼らはWi-Fiも隣人のを間借りするほどせせこましい生活で、ピザの配達箱を組み立てる内職をみんなで共に行っていた。
街に散布される消毒剤が家中に入り込む中、ギテクはボックスの早組み立ての動画を見ながらせっせと組み立てる。

ところが、一生懸命組み立てたボックスに不良品が入ってるとクレームを付けられ、賃金を減らされそうになってしまう。
家族の必死の取りなしによってなんとかその場を収めることができたのだが、どこも不景気なのだ。
そんなとき、ギウの昔なじみであるミニョクがキム宅を訪れる。
彼は手土産に水石を持ってくると、ギテクやギウはいやぁ良い石だ。象徴的な石だと知ったふうな口で褒めそやす。
ギウとミニョクが二人で飲みに行くと、その席でミニョクがギウにある話を持ちかける。
それは今、自分が受け持っている金持ちの家庭教師先にお前が代わりに行ってくれないかというものであった。
なんでも、ミニョクは近々留学に行ってしまうというのだ。
それで家庭教師の代理をギウに勧めたいとの話であった。
大学生でもない自分よりほかの奴らのほうが良いのではというギウであったが、ミニョクは他の奴らは信用できない、
家庭教師先の生徒の高2の女の子がめっちゃかわいくて好きになっちゃったから手を出さなそうなお前がいいと言われてしまうのだった。
金が欲しかったギウはこの話を快諾し、家庭教師先へ向かう準備を始める。
まず、手始めに経歴を詐称するために、姉のギジョンにフォトショで書類を偽造してもらうのだった。
ギウはこれは偽造ではない、来年入学するんだからそれの前借りだと言って家庭教師先へ向かう。
その向かった先は閑静な高級住宅地。
高い塀に囲まれた門をくぐるとそこにはテレビの中のような庭と豪邸が広がっていた。
ギウは家政婦のムングァンに招かれ中に入ると婦人のパク・ヨンギョと簡単な面接を行う。

早速、婦人の前で生徒である娘のダヘに授業を行うこととなった。
ギウは印象を良くするために芝居がかった授業を親子に披露するのだがこれが功を奏し、彼は採用の運びとなるのだった。
その帰り際、金持ち家族の息子の小学生問題児ダソンが現れ、家の中でカブスカウトで覚えたインディアンごっこを始める。

婦人はダソンには芸術的才能があるのではないかと考え、何人もの絵の先生を彼に紹介したのだが、
ダソンの問題行動に手を焼き誰もかれもやめてしまうのだと愚痴るのだった。
そこでギウは一計を閃き、知り合いにアメリカで学んだ優秀な絵画教師がいると婦人に持ちかけるのであった。
そこからキム一家による金持ちパク一家へのパラサイト(寄生)計画が始まるのだった・・・。

パラサイト 半地下の家族の見どころ
私がこの映画で一番気に入ったのはキム一家の長男ギウ役のチェ・ウシクです!
彼の演技がいいんですよね。パラサイト計画の中心を担う役なんですが、どこにでもいる兄ちゃん的な感じで、
爽やかさの中に哀愁があるような、若さゆえの情熱と不安定さを持った不思議な印象を受ける役どころでした。
勝手に韓国の妻夫木だと思っています(笑)

あとそのお父さんもいいです!
ソン・ガンホ演じるお父さんも最初は脳天気な感じなんですが段々とその中に狂気が混じってくるのが素晴らしいです。
人生を達観しているようでそうしきれないやるせなさを感じました。

というか一家全員いいキャラしてるんです。
長女のギジョンもお母さんのチョンソクもそれぞれに個性が強くて応援したくなるのがこの映画の罠なんですよねえ。
この映画の登場人物全員に言えることなんですが、みんな悪人じゃないっていうのがミソです。
だからこそこんな事になっちゃってどうなるの!?っていうハラハラドキドキが高められているのだと思います。
そして、この映画が万人に受け入れられている理由はそのバランス感覚によるものなんでしょう。
ある程度ずっと緊張感を保たせつつ、緩めるところでは緩め、そしてそれが観客の笑いを誘うというそのバンス感覚には舌を巻きます。
ずっと緊張感の連続では観客は疲れ、ずっと山場の連続では観客は肩透かしを味わってしまうものです。
観客の感情のコントロールが抜群に上手く成功している映画と言えます。
クライマックスに至るまでに観客を疲れさせすぎず、緩めさせすぎないことで
そこまで積み上げてきた物語のうねりがクライマックスに開放されるのです。
そしてその塩梅の妙によって観客にラストを予想させない、そしてこの映画のジャンルさえも曖昧にさせる魔法がかけられるのです。
見る人の好みや視点の違いによってこの映画はコロコロその表情を変えます。
ある人にとっては悲喜劇コメディであったり、ある人にとってはサスペンスホラーであったり、またある人にとっては階級闘争なのです。
この映画のジャンルを決めるのはあなたなのです。
あなたはこの映画はなんだと思いましたか?

ここからネタバレ注意!!
姉のギジョンも経歴を詐称し、うまくパク一家に取り入ることに成功します。
しかもギジョンはネットで仕入れた絵画療法知識をでっち上げ、過去にダソン君には何かあったのではないかという確信めいたことを言い
偶然図星だった婦人にめちゃくちゃ評価されるのでした。
そしてその裏ではギウとダヘがいい感じになり、密かに男女の関係になっています。

次に一家が目をつけたのは運転手です。
父のギテクは元運転手ということもあり、今の若い運転手をクビにさせて父をそこに紹介しようと企みます。
運転手に帰りを送ってもらっていたギジョンは若い運転手に少し好意を寄せられていたことを良いことに
車の中に自分のパンティーをわざと落としていきます。
そのパンティーを発見した金持ち一家は大慌て。
あの運転手、俺の車でナニしてやがると一家の父親でIT会社の社長のドンイクは憤慨します。

晴れて若い運転手はクビにされ、うまいこと紹介したギジョンによってギテクは採用されるのでした。
そしてキム一家は母親のチョンソクもどうにかして金持ち一家に雇わせようと画策します。
目をつけたのは家政婦でした。
しかし、家政婦のムングァンは金持ち一家がこのデザイナーズハウスに住む以前の、
この屋敷を建てた建築家が住んでた頃からこの家で働いていた筋金入りの家政婦という強敵です。

やめさせる理由など見つからないかのように思えた彼女でしたが、ムングァンにはたった一つだけ弱点がありました。
それは桃アレルギーです。
ひどい桃アレルギー持ちのムングァンは桃の表皮の毛が近くにあるだけでも咳が止まらなくなるほどの症状だったのです。
ギウとギジョンは桃からその表皮を削って小瓶に入れると、それを彼女の隙をついて彼女に振りかけるのでした。
アレルギー症状の咳に襲われ病院に行ったムングァンの姿を偶然を装いギテクが撮影し、
ムングァンは結核を隠しながら働いていたんですよと嘘の告げ口を婦人に垂れ込むのでした。
これに狼狽した婦人はムングァンを有無も言わせずすぐに解雇にし、ギテク経由でうまいこと母親のチョンソクを紹介するのでした。
ギテクがムングァンについて婦人に告げ口する場面で一家総出で父親のギテクに演技指導をするのですがこの場面が微笑ましくて好きです(笑)
こうしてキム一家はそれぞれが全員他人のふりをして金持ちパク一家に雇われることに成功するのでした。
家で祝杯を上げるキム一家。その傍らにはミニョクにもらった水石が飾ってありました。
ギウはこの石が成功の象徴なのではないかと思い始めているようでした。
気分がいいのに水を差すように外で酔っ払いが立ち小便をしているではありませんか。
以前はめんどくさくて放っておいたのですが、気が大きくなったギウは一発ガツンと言ってやると勇ましく出ていきます。
外に出たギウは酔っ払いに水をかけ、しっかりしろ!と怒鳴りつけるのでした。
ここでなぜかスローモーションがかかり、小便と水の掛け合いがドラマチックに撮られているのですが、私はここも好きです(笑)
一家のパラサイト計画は順調に行っていました。
そしてある日、パク一家が息子の誕生日のために泊りがけでキャンプに行くことになるのです。
慌ただしく準備を済ませ出かけるパク一家。
そしてこれ幸いとキム一家はパク家を我が物顔で謳歌するのです。
酒や食べ物を食い散らかし、風呂や庭でくつろぎまくるキム一家。
果てにはダヘの日記を勝手に読んだり、庭でハンマー投げを始めたりしています。
その夜、雷雨が降りしきる庭を眺めながら酒を酌み交わし、今までのことやこれからのことに夢をはせるキム一家。
雷鳴が轟くさなか、ピンポーン。と鳴るはずのないチャイムが鳴るのです。
恐る恐る応答するとカメラに写っていたのは、前の家政婦のムングァンでした。
彼女が言うには、地下室に忘れ物があるので取りに来た。中に入れてもらえないかとのこと。
こんなことは計画になかったとうろたえ、いぶかしがるキム一家だったが、中に入れてやることに。
現家政婦の母親チョンソク一人に対応を任せ、一家は影から様子をうかがう。
ムングァンを地下に行かせたはいいのだが、しばらく経っても帰ってこない。
しょうがなくチョンソクが地下に様子を見に行くと、棚の間を広げようと踏ん張っているムングァンがいるではありませんか。
意味のわからない行動に混乱しながらも棚の間を広げてやるのを手伝うと、そこにはさらに地下への隠し扉があったのでした。
あなた!来たわよ!と叫びながら降りていくムングァン。
ありえないことに混乱しながらもあとをついていくチョンソクとキム一家。
最下層に着くと、そこには謎の男性が衰弱した様子でベッドに横たわっているのでした。
甲斐甲斐しく謎の男に栄養補給させるムングァンをチョンソクが問いただすと、ここは隠しシェルターだというではありませんか。
最初に住んでいた建築家が北の核攻撃に備えた核シェルターがそこには隠されていたのです。
そして謎の男性はムングァンの旦那だというのです。
事業に失敗し、借金取りに追われた旦那を、建築家が去り、パク一家が来るまでの誰も居なくなった間にここに住まわせていたのです。
警察に電話し、彼らを追い出そうとするチョンソクと必死にそれを止めようとするムングァン。
それを近くで隠れ見ていたキム一家は足を滑らし、彼らの前に姿を晒してしまいます。
すぐにこいつらは家族でパク一家を騙して職を得ていたと気づいたムングァンはその様子をスマホで撮影し
パク一家に送信するぞと逆に彼らを脅すのでした。
一気に形成が逆転してしまった彼ら。
リビングで抵抗しないように脅される彼らを尻目にムングァンたちはくつろぎ始めます。
北の将軍のように振る舞い始めたムングァンの一瞬の隙を付き、キム一家はスマホを奪おうと突撃します。
スマホを巡った大混戦の中、またもや鳴るはずのないものが鳴り始めます。
それはパク一家からの電話でした。
豪雨に打たれたパク一家はキャンプを中止し、帰宅途中だと言うのです。
しかもあと8分くらいで着くからジャージャー麺を用意しといてくれというではないですか。
スマホ争奪戦を制したキム一家はムングァンたちを紐でふん縛り、地下に繋ぎます。
その最中、ムングァンの旦那は地下のスイッチを一定間隔で押し始めます。
何をやっているのか聞くと、廊下の電灯とつながっており、パク一家の帰りを照らしているのだと言います。
彼は長い地下生活のせいで少し気が触れているようでした。
その後、急いで調理や掃除を行い、間一髪のところでキム一家はソファーやベッドの下に隠れることに成功します。
ジャージャー麺を差し出し、チョンソクが婦人の機嫌をとっていると、地下からムングァンが這い出してきているではありませんか。
それを察知したチョンソクは彼女を足蹴にして地下へ突き落とします。
そのせいで頭を強かに打ち付けるムングァン。
床に就こうとした彼らの目を盗んで脱出しようとするギウ、ギジョン、ギテクでしたがあとちょっとのところで
ダソン君が二階から降りてくるではありませんか。
リビングのソファーの下に隠れた3人でしたが、ダソン君はテントを持ち出し庭でキャンプを始めてしまいます。
両親も二階から降りてきてリビングでダソン君の帰りを待つことにし始めてしまいます。
ソファーでイチャイチャし始める夫妻。
するとドンイクがギテク臭がすると言い出します。
あいつ臭くて車内では最悪だと言いながらイチャイチャするのです。
ソファーの下でショックを受けるギテク。
イチャイチャし疲れ寝た夫妻の隙をついて脱出しようとするキム一家。
そこでまたダソン君が騒がしくするのですが、なんとか暗闇に乗じて逃げることに成功します。
その頃地下では、ムングァンの旦那が助けを求めてモールス信号で灯りを点けたり消したりしていたのでした。
大雨が降りしきる中、逃げ帰るギウ、ギジョン、ギテク。
その中で彼らはこれからどうするのよ!と口論を始めます。
そこをギテクが俺に計画があると収め、家に帰るのですが、家は大雨のせいで水没寸前です。
下水から汚水があふれる中、必死に物を運ぶギテク。
疲れ果て便器の上でタバコを吸うギジョン。
そして水石を抱えながら途方に暮れるギウ。
彼らは避難所へと避難するのでした。
するとそこにパク一家から電話で、明日ダソンの誕生日パーティーをするから来てくれと言われます。
疲れ果て、避難民の中で寝る彼ら。
そこでギウはギテクに計画とは何なの?と聞きます。
ギテクはそんなものはない。計画なんかあるから失敗があるんだ。
最初から計画なんてなく生きていればそれでいいんだ。と諦めの境地を告白します。
次の日、なんとかパク一家の誕生日パーティーに臨む彼ら。
隙を見て一家は地下の様子を探ろうとするのですが、忙しくてうまくいきません。
ギウはダヘと庭のセレブたちの様子を見ながら、俺はこの場にふさわしい人間なのかと自問自答しているようでした。
そしてギウは成功の象徴でもあった水石を取り出し、地下へケリを付けに行くのです。
地下へと降りたギウは、ムングァンの死体らしきものに気を取られ、ムングァンの旦那に逆襲されてしまいます。
逆に水石で頭をぶっ叩かれ倒れるギウ。
ムングァンの旦那は狂気に目を血走らせたその顔で台所から包丁を取り出し、キム一家への復讐へと走るのでした。
庭に躍り出た彼を見たゲストたちは悲鳴を上げ、ちょうどダソンにケーキをあげようとしていたギジョンに彼の凶刃が突き立てられます。
それを見たギテクとチョンソクは男を止めようと前に出ます。
場は阿鼻叫喚の地獄絵図となり、みんな逃げ惑います。
そこでチョンソクがハンマー投げのパワーを活かし、ムングァンの旦那と格闘します。
ドンイクはギテクにみんなを逃がすために早く車の鍵をよこせと命令します。
ギテクはうまく動けません。
格闘しているチョンソクは寸前で包丁を止め、バーベキューナイフで逆に男を刺し殺すのです。
ギテクの目には頭から血を流して運ばれる息子と、今にも死にそうな娘、ムングァンの旦那のひどい悪臭に鼻を摘むドンイクが映っています。
様々な感情が巻き起こり、ギテクの感情は暴発してしまいます。
男が持っていた包丁を取ると、ギテクはドンイクを刺し殺すのです。
大混乱の中、ギテクは庭を出て姿をくらまします。
そしてギウが目を覚ましたのは病院のベッドの上でした。
目の前には刑事がおり、彼に罪状の説明をしているようでした。
ギウは怪我の後遺症のせいなのか、現実感のなさのせいなのか笑いが止まりません。
ギウと母のチョンソクだけが生き残り、ギジョンは死んでいました。
ギウとチョンソクは詐欺と文書偽造の罪に問われましたが、執行猶予がついたようです。
ギテクは殺人者として指名手配され警察が追っているようでしたが行方知れずとのことです。
そしてしばらく経ち、警察の尾行も甘くなった頃、ギウは雪山へ登ります。
そこから望遠鏡を覗くとパク一家が住んでいた豪邸が見えるのでした。
今では知らない外国人が住んでいるようでしたが、彼はその景色に囚われたようにずっとずっと覗いているのです。
夜も更けた頃、ギウは豪邸の中の電灯の一つがチカチカ瞬いているのに気づきます。
規則的に点いたり消えたりするそれはモールス信号のようでした。
それに気づいたギウはそれをメモし、すぐに解読に走ります。
それは父のギテクからのメッセージでした。
そこには父はあの後すぐに地下へと隠れ住み、ここまで生き延びていたこと、そして自分の人生の無情さが込められていました。
それを見たギウは、いつか自分が成功し、あの豪邸を買って父を迎えに行くことを計画するのでした。
END

ネタバレ感想
いやぁ、パク一家かわいそう・・・。
パク一家が一番の被害者ですよね。なんの悪いこともしてないのにこんな事になってしまって。
ムングァンやキム一家に対しても紳士的に付き合ってくれるめっちゃ良い一家だったのに。
ダソン君とか誕生日&トラウマ克服記念ケーキだ〜っていってやってるのに
そこでそれ以上のトラウマ植え付けられちゃってほんとかわいそうです。
終盤、ギテクがドンイクを刺し殺すんですが、その場面のギテクの動機は何だったのでしょうかね。
臭いと言われたこと、被災の疲れ、金持ちへの嫉妬、格差への怒り、自分への不甲斐なさ、家族を傷つけられた悲しみ。
色んな感情がごちゃまぜとなって、そして彼生来の性格である計画を建てないという気質も相まって衝動的に起きてしまったのでしょうね。
私は物語から寓意的なもの、つまり、教訓めいたことを勝手に受け取るのがあまり好きではないので、
これは社会への警告だ!とか説教めいたことを言いませんが、この映画から色々感じるのも自然なことだと思います。
ただ、少しひねくれた見方かもしれませんがギテクが衝動に走ったのは結末ありきなんじゃないのかと思ってしまいます。
最後、ギテクが地下の住民になるENDがやりたかったので彼に凶行に走らせたのではないかなーなんて。
これは一個人の妄言ですので気にせずに。
上の方でも書きましたが、みんながみんな最初から悪人じゃないのが良いんですよね。
だからこそ、ラストの無常感、やるせなさが際立つのでしょう。
悲劇的なラストだからこそ途中途中のコメディシーンや団らん場面が映えるのです。
それにしてもムングァンの旦那さんの狂気の演技、すごすぎですよね。
地下で追ってくるところや、目つき、マジで怖すぎです。
まじパク社長リスペクト!!
ギテクの計画があるから失敗があるんだの含蓄があるようでないセリフや、
チョンソクのお金はアイロンだ、心のシワを伸ばしてくれるとかムングァンの北朝鮮モノマネとかセリフもいちいち面白いですよね。
あと、画作りも素晴らしいです。
ワンショットワンショットがかっこいいです。演出にも照明にも金と時間がかかってる感じがします。
フィルムから匂いが漂ってくるような、悪臭が漂ってくるような雰囲気が素晴らしいです。
演出も何を見せるか見せないか、どうやって見せるかによっても観客の受ける印象はガラリと変わりますからね。
場面転換もスムーズで非常に計算された画作りだったように思いました。
私が一番ドキドキしたのはムングァンが地下シェルターを開けて降りていくところです。
あ、これ地下から怪物が出てくるんじゃないかとワクワクしました。
「フロム・ダスク・ティル・ドーン」みたいに途中で映画のジャンル変わっちゃう!
グエムル始まっちゃうんじゃないかと思いましたがそこに居たのはある意味怪物でしたね。
話を一筋縄で進行させないのも素晴らしいです。
本作はコメディやスリラーに囚われないです。
というか人生ってそうですもんね、笑いあれば悲劇もある。
人生を描こうと思ったら全部ぶち込まなきゃいけないですよね。
本作のようにカテゴライズの枠を超えた傑作がどんどんこれからも産まれてほしいものです。
最後にみなさん、人生は計画的に。
そして、体臭にはお気をつけを・・・。
それでは皆さんまたお会いしましょう。